CSRと社会貢献(福祉活動)

(CSR:Corporate Social Responsibility企業の社会的責任)

目 次

| 目次 |Ⅰ. CSRに対する基本的考え |Ⅱ. 障害者施設の置かれた状況 |Ⅲ 企業と施設の関係 |Ⅳ. 具体的展開 |Ⅴ. 最後に |


Ⅰ. CSRに対する基本的考え

  1. 理想の企業像と社会貢献
  2. (株)金谷ホテルベーカリーの現状
  3. (株)金谷ホテルベーカリーが社会貢献活動を行う理由

Ⅱ. 障害者施設の置かれた状況

  1. 概要
  2. 障害者自立支援法
  3. 障害者施設の課題
    1) 制度上(特に費用)の問題点(07年現在)
    2) 施設が自助努力する為の課題
    3) 職員の過酷な「感情労働」の課題

企業と施設の関係

  1. 企業の役割
  2. 施設の役割
  3. 企業・施設の責任者の役割
  4. CSR(福祉活動)の前提

Ⅳ. 具体的展開

  1. 具体例社会福祉法人むくどり
  2. 当事者、施設、地域社会にとってパン製造販売のメリット
    1) 障害者にとって
    2) 施設にとって
    3) 地域社会にとって
  3. 施設がパンの製造販売をする場合の心構え

Ⅴ. 最後に


朝日新聞【天声人語】2007年06月06日(水曜日)付
作家の藤沢周平さんは若いころ、郷里の山形で中学教師をした。戦後間もなくのこと、教師は地域で「無条件に尊敬されるか敬遠されるか」の存在だったと回想している。外部から雑言が聞こえることは、まずなかったそうだ。
いまは、理不尽な要求をする一部の親が、先生を追いつめていると聞く。気兼ねなく学校に物を言うのは大切なことだ。だが「ある子の学校での様子を、毎晩1時間半も電話で説明させられた」といった多くの実例からは、先生の悲鳴が聞こえてくる。モンスター親」と、教育の現場ではひそかに呼ぶ。そんな親たちいわく、
 能力不足の担任を替えろ/
 部活動のユニホームは学校で洗って/
 うちの子を正選手にしろ……。
これを執拗(しつよう)にやられては、先生は参ってしまう。教委も対応に乗り出した。岩手県は、注文の多い親を「溺愛(できあい)型」「(プライドの高い)自己愛型」「愉快犯型」など10に分類して処する手引書を作った。刺激せず、ていねいに。お客様相手さながらの慎重なマニュアルから、ことの深刻さが浮かび上がってくる。
「学校は自分が40分の1だと初めて学ぶ場所」と、作家の高村薫さんが他紙で語っていた。みんなで成長するための大事な公共空間である。そのことを親も一緒に学ぶ必要があろう。
藤沢さんは、当時の学校を「バリアーに包まれた閉鎖社会」だったと書いている。風通し良く外部から聞こえる雑音は、学校にとって貴重な羅針盤だろう。だがそれも「騒音」となれば、耳をふさぎたくなるだけである。


朝日新聞【天声人語】2007年06月12日(火曜日)付
学校の先生に理不尽な文句をならべる「モンスター親」について先週書いたら、いくつか便りをいただいた。
学校ばかりでなく、いたる所に同類の横行があるらしい。
ある薬局の薬剤師は客に処方する際、話し方が気に食わないと怒鳴られた。心ならずわびつつ、口まで出かかる「何様ですか」をのみ込むことが、最近は増えているそうだ。「会社万葉集」(光文社)にあった切ない歌を思い出した。〈わたくしの正しき事は主張せず客の激しき言葉に耐へゐる 山口英子〉。
「感情労働」という言葉を、最近、耳にすることがある。自分の感情をひたすら押し殺して、相手に合わせた態度と言葉で対応する。きびしい自制心を求められる仕事のことだ。「肉体労働」「頭脳労働」に並ぶ言葉らしい。
かつては旅客機の客室乗務員が典型とされていた。だがここにきて、看護や介護を含むサービス業全般に、その要素が広まってきた。身勝手がはびこり、多くの人が「堪忍袋」の酷使を強いられている。
スーパーのレジに1日立てば「いま」が見えますよ。そんな便りも届いた。しかし、客として理不尽を言う人が、仕事では客に理不尽を言われる立場にいることもあろう。そしてまた、その客も……。弱い立場の者をストレスのはけ口にする、やるせない「堂々巡り」が透けて見える。
いまを称して「いちゃもん化社会」と呼ぶ学者もいる。堪忍袋の緒には限度がある。感情労働者の「燃え尽き」も心配されている。お互いに「モンスター」にはなりたくないものだ。


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